「和」を伝える和izm

高木盆栽美術館
日本国内のみならず、世界中の盆栽愛好者の垂涎の的ともいえる盆栽群が「木コレクション」である。世界初の財団法人での盆栽美術館の設立者・木禮二氏が、その生涯をかけて蒐集したもの。日本一の名木といわれる五葉松・銘「日暮し」をはじめ、政財界の巨人たち遺愛の樹々など、国内トップクラスの盆栽が四百本以上、伝承の名鉢や卓など三千点以上が集められている。
高木
幼い頃から植物の奥深さに魅せられ、盆栽愛好者になった木禮二氏。裸一貫で事業を起こし、日本初のシュレッダーの開発販売で事業を拡大し、実業家として大成した。
木氏は語る。
「私に経営学の師匠はいません。盆栽を観て、育てることによって、経営に通じる大切な心を学んだのです」
継続することの大切さ、生命を大切にすること、人を大切にすること、自己を律すること、日々の繊細な変化を捉えることの大切さ……、盆栽はさまざまなことを教えてくれた。
木氏は語る。
「私に経営学の師匠はいません。盆栽を観て、育てることによって、経営に通じる大切な心を学んだのです」「人間は誰しも老いて、命を閉じていきます。しかしながら、盆栽も、事業も、次代に確実に引き継いでいくことさえできれば、永遠に生き続けることが可能なのです。これを追求していくことこそが、人の上に立つリーダーの役割であるとも考えています。
盆栽は、単なる趣味の域にとどまるものではありません。至高の美、歴史の重さ、生きるということ……、いろいろなことを学び合い、共に成長する。盆栽は人生の友であり、師でもあるのです」
「盆栽は、人生そのものでもあります。人生とは、潜在している、埋没している自らの能力を発掘していくものです。盆栽も、潜在している、埋没している樹の個性・素晴らしさを発見していくものなのです」
日暮し五葉松・銘「日暮し」 樹高72cm 
樹齢約450年 鉢/古渡烏泥外縁段足長方
寿雲日本一」とまで呼称された名木が、五葉松・ 銘「日暮し」である。日が暮れるまで見愡れてしまうほどの名木ということから、その銘が付けられた。古より続いてきた盆栽の心を体現しているような、見 飽きるということのない樹姿である。
また、盆栽界には「名木に裏表なし」(裏から観ても、表から観ても、名木は素晴らしい)という有名な格言があるが、その言葉もこの「日暮し」から生まれている。歴代の盆栽家たちによって、度々その表(正面)を変えられたという異例の経歴を持つからである。とりもなおさず、それは「日暮し」が、表も裏も甲乙つけ難いほど素晴らしいからといえる。

■木と「日暮し」の出会い

木氏と「日暮し」との出会いは、平成六年(一九九四年)日本初の盆栽美術館を開館させた頃にさかのぼる。日本一の五葉松を美術館にどうかと持ちかけられ、依頼主の盆栽置き場を訪れた。しかし、そこで目にした「日暮し」は、過去の展示会の記念帳に掲載された、素晴らしい樹姿とはほど遠いものだった。名木だからこそ関わる人々の欲というものに翻弄され、衰えた、哀れな樹姿だった。日常管理がきちんとなされていないことは明らかだった。なんとか甦らせてやりたい、と木氏はすぐにその樹を引き取った。価格は一億八千万円だったが、永い歳月に亘ってその樹を育んできた人々の人件費を考えたら安いものだ、と思った。それから約三年半もの歳月をかけ、名木「日暮し」を甦らせた。自宅の盆栽置き場で、少しづつ良くなっていく「日暮し」を眺めるのは、至福ともいえる喜びだった。名木「日暮し」と互いに引き立て合うようにと、鉢も最高の名品を探し求めた。盆栽界において最高峰とされる中国の古渡烏泥鉢である。飾るときのときのためにと、名工小川悠山の手になる机卓も準備した。パリの万博博覧会で金賞を受賞した名品である。樹、鉢、卓、三位一体となって最高の盆栽飾りが可能となる。それは、木を導いてくれた先人、盆栽大家・堀野良之助氏がくり返し教えたことだった。
日暮し2
日暮し3昭和14年全日本美術盆栽大展覧会における樹姿

■名木「日暮し」に、木も魅入られた

「毎日眺めて、凄い樹があるものだ、と唸ったものです。歴史の重みというものを感じずにはいられませんでした。この名木に関わった人々の歴史が、その樹姿にぎゅっと詰め込まれています。そんな歴史の重さと、永い歳月を重ねた生命の凄さが、美へと昇華されている印象です。実際、日が暮れるまで眺めていても飽きません。この樹を持つからには、そこまで好きにならないといけないと思いました。これは大事にしなければいけない、と気持ちが引き締まりました」数々の名木が集まる木コレクションの中でも、筆頭の樹といえる「日暮し」。三億五千万円出すから譲って欲しい」と愛好家に頼まれたこともあるが、 木氏は断わっている。
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高木盆栽美術館1
高木盆栽美術館2
高木盆栽美術館3
マップ
栃木県下野市薬師寺3311-37
Tel. 0285-44-1754
午前9時〜午後5時
定休日 月火水


高木盆栽美術館MAP